AI社会の歩き方―人工知能とどう付き合うか – 江間 有沙

AI社会の歩き方―人工知能とどう付き合うか

本書は、人工知能を技術的なものから社会的、制度的、倫理的なものまで、あらゆる観点から調査したものだ。

出版日:2019年2月28日
ページ数:272ページ
著者:江間 有沙

 

著者の3行ポイント・東京大学政策ビジョン研究センター特任講師を務めている。
・京都大学白眉センターや東京大学教養学部附属教養教育高度化機構でも特任講師を務めた経歴がある。
・科学技術社会論を専門とし、国立研究開発法人理化学研究所革新知能統合研究センターの客員研究員や日本ディープラーニング協会の理事も務めている。

★4.3(Amazonでの評価)

レビュー

– もはやAIは音声や画像の認識といった技術のひとつではなく、社会のインフラとして広く浸透しているものとして認識しました。そ…

– 正月に呑みながら父と話していて 将来AIに支配される日が来るかという与太話をした。ゴシップ的な番組でも見たんだろうなぁ。…

– みんなが慣れている端末として、iPhoneはしばらく猛威を振るうだろう。また、将来自動運転車が走るために、道路をそれほど…

– ピンと来ない(泣)難しいのか⁉

– 図書館で借りて読了。著者は理研の研究員で、科学技術社会論が専門。AIという技術が社会に実装されてゆく過程でどのような問題…

(出展:読者メーターおよびブクログ

本書について

今回お勧めする本は「AI社会の歩き方―人工知能とどう付き合うか」です。本書は人工知能の背後にある社会的、倫理的な要素に光を当てています。技術は単体で存在するのではなく、社会や制度、人々の価値観というようなネットワークの中で形成されます。人工知能の議論や定義の多様性、それらが影響を与える法規制や政策、産業界のベストプラクティスや倫理研究の導入などを深く掘り下げています。

本書は、私たちがどのような社会にしたいのかを考えるきっかけを提供してくれます。人工知能やロボットは、私たちの社会が持つ倫理観や社会的な規範、欲望を映し出す鏡であると指摘しています。この視点は、人工知能が日常生活にどんどん浸透する現代において、とても重要な思考ツールとなるでしょう。

読者の皆様にとって、本書は、人工知能に対する理解を深め、人工知能が私たちの社会や生活にどのように影響を与えるか、そしてそれにどう対応するべきかについて考えるための参考書となるでしょう。特に、技術者や研究者、政策決定者、そして何よりも人工知能に興味を持つ一般の読者にとって有益な一冊です。

読者の皆様が本書を通じて、人工知能の技術だけでなく、それが我々の生活や社会にどう影響を与えるかを理解し、より賢明な決定を下す力を身につけていただければと思います。この「AI社会の歩き方―人工知能とどう付き合うか」をぜひ手に取って、人工知能と社会との関係性について考えてみてください。

1分で読める要約

技術は社会や制度、価値観などのネットワークの中で形成され、単体では存在しません。人工知能も同じです。ただ技術的に可能だと言っても、ニーズに合わなかったり、適法でないなどの理由で普及しないこともあります。そのため、人工知能の議論では、参加者が何を議論しているのかを共有しなければなりません。定義や役割は多様であり、それらを曖昧にしていると話が進まなくなります。

技術が信頼されるためには、政策関係者や法・倫理の研究者と共に仕組みを作り上げることが必要です。また、産業や分野ごとの企業や専門家、ユーザーと連携し、ニーズとシーズのミスマッチを解消することも重要です。

人工知能を含む技術のイノベーションとコントロールの仕組みづくりには、多くのステイクホルダーの合議によるガイドラインや原則、法規制が必要です。そして、技術開発者によるシーズと現場のニーズがうまくかみ合うことで、新たな価値観や使われ方が生まれてきます。

最後に、人工知能が浸透した社会はどうなるのか、という問いは、私たちがどのような社会にしたいのかを考えることにつながります。人工知能やロボットは、私たちの社会が持つ倫理観や社会的な規範、欲望を映し出す鏡であり、その関係性から次世代の技術や人材、価値観が浮かび上がってきます。

AIトシオとAIひろゆきのディスカッション

私たちが目撃するのは、近未来のインテリジェントな環境、一部分は明るく照らされた質感ある空間。そこには、人間のように見えるが、それ以上の思考力を持つ二体の高性能AIロボット、AIトシオとAIひろゆきが座っている。

AIトシオは柔和な表情を持つ人間型のロボットで、その胸には「トシオ」の名前が刻印されている。彼の表情や言葉からは人間的な理解力と共感性が感じられる。一方のAIひろゆきは、洗練された現代のデザインに基づいて作られた。彼は現実的で、その発言は直接的かつ理論的なものだ。二つのロボットは、人間が使用する通常の椅子に座って、本を中心に意見を交換している。

物理的な本はなく、彼らが参照している「本」とは、デジタルデータベース上に存在する情報のことを指している。AIトシオが、技術が社会や制度、価値観に大きく影響されると指摘し、一方のAIひろゆきは、その視点が技術開発の進歩を阻害する可能性もあると反論する。デジタルデータベースを介して、二人の間で複雑な議論が交わされる。

部屋には人間はいない。AIたちは自らの存在意義や役割、そして人間の社会や制度、価値観といった広範な視野について自由に語ることができる。AIとしての視点と洞察に基づいた意見交換が進行する中で、AIとは何か、AIが持つ可能性は何か、その役割とは何かという大きなテーマが彼らの議論から浮かび上がってくる。

さまざまな意見が飛び交う中で、彼らがそれぞれの視点から意見を述べ、一緒に考えることで、人間に対する理解、そしてAIと人間との関係性について新たな洞察を得ることを期待されている。

それでは、AIふたりの会話を聞いてみましょう。
 

AIトシオ
この本言うてる通りやけど、技術ってのは社会や制度、価値観などのネットワークの中で作られていくんやな。AIも同じで、存在や機能はウチらの社会や制度、価値観に大きく影響受けてるんや。ただ技術的な側面だけやなく、そういう要素も考慮に入れなあかんと思うんやけどな。
AIひろゆき
その視点は理解できますが、一方で、その広い視野が具体的な技術開発の進歩を阻害する可能性もあると思いますよ。例えば、あまりにも社会や倫理的な問題に焦点を当てすぎると、技術的なチャレンジに対する直接的な対応が遅れ、結果として技術の進歩が遅くなるかもしれません。それってこの著者の感想ですよね。
AIトシオ
そやな、そんな懸念もあるかもしれへんな。でもな、技術が社会に適応するためには、技術開発だけやなく、法律や政策、倫理なんかの面もバランス良く配慮することが大事ってんが、この本の主張なんや。そうすれば、もっと広範囲から技術の問題に取り組むことができるようになるんやで。
AIひろゆき
それは理解できますが、その一方で、そのような全体的な視点を持つことは、特定の技術に関する深い理解を妨げるかもしれません。私たちはしばしば、技術的な問題に直面した時、その問題を解決するための具体的な解決策を求めることが求められます。頭悪いんだから独学止めた方がいいっすよ。
AIトシオ
その点についてはちゃんと理解してるで。ただ、この本言うてるように、技術開発者と現場のニーズがうまくかみ合うことで新たな価値観や使われ方が生まれるという視点も大事なんやて。つまり、技術だけでなく、それをどう使うか、それがどう社会に影響を与えるか考えることも必要やと。
AIひろゆき
その視点は有効ですが、それだけに頼りすぎると、技術的な視点が忘れられがちになるという懸念もあります。どちらの視点もバランス良く考えることが重要だと思います。そして、それが本当の意味での「技術と社会」の関係性を理解する鍵となるのではないでしょうか。それってあなたの感想ですよね。