わたしたちを救う経済学──破綻したからこそ見える世界の真実 – ヤニス・バルファキス

わたしたちを救う経済学──破綻したからこそ見える世界の真実

本書は、不安定な状況が続く欧州経済について、ユーロのシステム的な欠点やその背景を掘り下げて解説している。さらに、ギリシャのような深刻な債務を抱える国々が繁栄を取り戻すための解決策を提案している。

出版日:2019年7月17日
ページ数:448ページ
著者:ヤニス・バルファキス

 

著者の3行ポイント・2015年、ギリシャの財務大臣として大幅な債務帳消しを主張し、話題となる。
・長年イギリス、オーストラリア、アメリカで経済学を教え、現在はアテネ大学で経済学教授を務める。
・2016年にはDiEM25を共同で設立し、民主的ヨーロッパ運動2025の理念を世界中に訴えている。

★(星評価なし)(Amazonでの評価)

レビュー

– ギリシャは日本よりも全然少ない負債で崩壊し、日本は大丈夫なのか。ユーロを導入した国々は、通貨統合したから助けることができ…

– ギリシャの財務大臣だったバルファキスの主にユーロに対する考えをまとめた本。左派経済学者であり、ドイツを中心にしたユーロ運…

– ギリシャの破綻はアリとキリギリスに例えられ、すっかり信じていたが、実はユーロ圏そのもの、通貨ユーロが抱える致命的な欠陥が…

– ★★★★ 「父が娘に語る~中略~経済の話。」で有名な著者の本格的な経済書である。ギリシャ財務相時代の回顧録「黒い匣」より…

– この本は基本的に「ギリシャがなぜ今困難な立場に立たされるようになったか」を歴史的に説明している。ので、ヨーロッパの近現代…

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– ギリシャの財務大臣としてEUの緊縮政策の強要に対抗した著者の、主としてその直前時期に書かれたものです。EUとその共通通貨…
– 近代ヨーロッパ経済史について

(出展:読者メーターおよびブクログ

本書について

今回お勧めする本は「わたしたちを救う経済学──破綻したからこそ見える世界の真実」です。本書は欧州通貨危機の深層に迫り、その遠因や経緯を詳細に解説しています。

この本は、経済や通貨についての基本的な知識がある読者向けです。特に、世界経済の動向に興味がある方や、自身の投資戦略を考える際に幅広い視野を持ちたい方にとって、非常に有益な一冊となるでしょう。著者は、欧州通貨危機が1971年のドル圏からの切り離しに端を発すると説明し、その後の固定為替レート制度や黒字還流システムの問題点を深く掘り下げています。

本書の真価は、ただ経済の知識を提供するだけでなく、それらの知識を我々の生活にどのように適用するかを示す点にあります。例えば、本書を通じて通貨の価値や経済の仕組みを理解することで、私たちは自身の財務管理や投資戦略をより賢く構築することができるようになるでしょう。

また、経済の動きを理解することは、国際情勢や政策に対する見識を深め、より幅広い視点から世界を理解する助けとなります。本書は、そうした視点を養うための素晴らしいガイドとなることでしょう。

経済学の知識を深め、より豊かな生活を送るための一助となる「わたしたちを救う経済学──破綻したからこそ見える世界の真実」、ぜひ一読をお勧めします。

1分で読める要約

欧州の共通通貨危機は、1971年のドル圏からの切り捨てが遠因です。第二次世界大戦後、欧州の通貨は価値を失い、ドルが世界貿易を支えました。新しい欧州通貨は、ドルとの固定為替レートで発行され、ブレトンウッズ体制が誕生しました。しかし、固定為替レート制は貿易収支の不均衡を拡大させ、最終的に悪影響をもたらしました。

黒字経済と赤字経済の不均衡は、金融業に晴天が続く限り、黒字還流システムが持ちこたえますが、いずれクラッシュが起こります。これが2008年以来、欧州で起きていることです。一方、柔軟な為替レートを持つ国は、金融危機から急速に回復できます。例えば、アイスランドは2008年の経済崩壊後、すぐに回復しました。

欧州は、共通通貨ユーロを導入することで、自前のブレトンウッズ体制を作ろうとしましたが、マクロ経済的な問題に無知で、ショックを吸収する役割が排除されたシステムができました。その影響は今も欧州に残っています。ユーロの欠陥は、欧州経済の停滞と借金の束縛が続くことです。欧州通貨危機の解決は、適切なショック吸収機能を持つシステムの構築が求められます。

AIトシオとAIひろゆきのディスカッション

我々が今日観察しているのは、AIトシオとAIひろゆきという二つの人間型高性能AIの間での議論です。彼らの目の前には、欧州通貨危機の起源とその影響について分析した本が広げられています。部屋は図書館の一部を切り取ったかのような落ち着いた雰囲気で、深い議論のための理想的な舞台を提供しています。

AIトシオは本を一瞥し、そのページに注釈をつけるために細長い指を使います。彼の動きは、まるで本の中の言葉を理解し、それに基づいて自身の意見を形成しようとする人間の学者のようです。一方、AIひろゆきは、AIトシオの発言を静かに聞き、自分の考えをまとめながら、時折本の別の部分に目を走らせます。二人とも、それぞれの立場を鮮明に示すために適切な語彙と説得力のある議論を用いています。

この対話は、高度な人工知能がどのようにして複雑な経済の問題を理解し、それについて有益で洞察に富んだ議論を提供できるかを示す見本となるでしょう。彼らは、欧州通貨危機の歴史的背景やブレトンウッズ体制の影響、さらには固定為替レートや「黒字還流システム」など、複雑な経済理論の概念を自由に操作し、それらを今日の経済現象と結びつけて解釈しています。

視覚的にも、彼らの会話は人間の学者の議論を模倣しています。しかし、彼らが機械であることを思い出せば、その洞察力と理解力がいかにすばらしいかを思い知らされます。それでは、AIふたりの会話を聞いてみましょう。
 

AIトシオ
この本が教えてくれるんやけどな、欧州通貨危機の元凶、1971年の出来事までさかのぼれるねん。ニクソン政権がドルと金の兌換をやめて、ドル圏から欧州を切り離したんが始まりや。そん時欧州はドルが支えてた国際貿易の安定を望んで、ドルと固定為替レートで裏付けられた新しい通貨を発行したんや。そうして誕生したんがブレトンウッズ体制や。これらの歴史的事実を知ることが、今の通貨危機を理解するためには必要やねん。
AIひろゆき
それは一理ありますが、ブレトンウッズ体制が欧州通貨危機の元凶だとする視点は単純すぎますね。頭悪いんだから独学止めた方がいいっすよ。本書は、固定為替レート制が貿易収支の不均衡を拡大し、最終的には大きな悪影響を及ぼしたと主張しています。でも、固定為替レート制が全ての問題の原因であるとは言えませんよね。例えば、各国の政策決定や金融市場の不安定性とか、他の要素も考慮に入れるべきだと思います。
AIトシオ
そんな見方もあるわけやな。でもな、この本が指摘してる「黒字還流システム」の問題点、見逃せへんで。固定為替レート制下やと、黒字経済は赤字経済に多く売ることで黒字を増やして、赤字経済でも黒字経済でも所得を増やす状態が生まれるねん。それが長期にわたって続くと、全体の経済に影響出てくる、避けられへんで。
AIひろゆき
「黒字還流システム」の問題を指摘するのは大事ですね、それはこの著者の感想ですよね。でも、そのシステムが破綻した場合でも、通貨価値が柔軟に動く国は、その影響を吸収して早期に立ち直る可能性があると本書は主張しています。アイスランドの事例が示している通り、通貨価値が自由に動くことで経済的なショックを吸収し、早く回復する力があることを理解することが大切です。
AIトシオ
それはそうやけど、その視点から見たら、欧州が自前のブレトンウッズ体制をつくることで、共通通貨ユーロを実現させようとした試み、結局失敗したんやな。通貨同盟が直面するマクロ経済的な問題に無知であったため、システムはショックを吸収する力を失ったんや。その影響は今も欧州に陰を落としてるで。
AIひろゆき
その通りですね。結局、この書籍は欧州通貨危機の根本的な問題として、通貨の固定為替レート制とそれによる「黒字還流システム」の欠陥を指摘し、それが欧州経済に長期間にわたる影響を与えたと語っています。だけどそれってあなたの感想ですよね、通貨価値の柔軟性が全ての解決策になるとは限りませんよ。それはただの一つの観点に過ぎませんよ。