インフレ時代を生き残る 下請け製造業のための劇的価格交渉術 – 大場 正樹

インフレ時代を生き残る 下請け製造業のための劇的価格交渉術

原材料や人件費の高騰が続く中、いかにして値上げ交渉を成功させるかが重要であり、本書は特に交渉力の弱い下請け企業に対して、そのためのツールを提供するものである。

出版日:2022年9月27日
ページ数:200ページ
著者:大場 正樹

 

著者の3行ポイント・中小企業診断士であり、大手非鉄金属商社で14年勤務した経験を持つ。
・中小製造業の技術力や現場力を活かす仕組みづくりを目指し、経営コンサルタントとして独立。
・2014年にゼロプラスを設立し、産業ロボットや金属加工部品調達などのサービスを展開し、事業を拡大している。

★5.0(Amazonでの評価)

レビュー

– ▼人件費、原価上昇を値上げしないと、人材流出等で経営圧迫する▼固定費、変動費、付加価値を可視化する▼契約の際に変動費が上…

(出展:読者メーターおよびブクログ

本書について

今回お勧めする本は、「インフレ時代を生き残る 下請け製造業のための劇的価格交渉術」です。原材料価格の高騰や人件費の増加により、多くの下請け企業が利益を減らしていますが、本書では「値上げできない」という思い込みを打ち破る方法を提案しています。

本書では、価格交渉において2段階のゴールがあることを示しています。まずは、原材料費などの変動費をスライド制に改めた契約を了承してもらうこと。次に、付加価値額の増額を認めてもらうことです。この2段階をクリアするための劇的価格交渉術が詳しく説明されています。

本書の対象読者は、下請け製造業を営む経営者や担当者で、価格交渉に悩んでいる方々です。本書の内容を実践することで、原材料価格の高騰や人件費の増加による影響を最小限に抑え、会社の利益を維持し、従業員の待遇改善につなげることができるでしょう。

また、本書を読むことで、値上げ交渉の際に用いるべき外部エビデンスの収集方法や、変動費スライド制の導入方法、提案資料の作り方など、具体的なスキルが身に付きます。これらの知識を活用すれば、会社だけでなく、読者の方々の生活にもプラスの影響を与えることが期待できます。

最後に、本書では、「値上げの目的は供給力の確保」というスタンスを徹底して貫くことが重要であることを強調しています。これにより、取引先に対して誠実な姿勢で価格交渉に臨むことができるでしょう。

インフレ時代においても生き残るために、ぜひ本書を手にとって、価格交渉術を習得しましょう。

1分で読める要約

製造業において、中小企業は大手企業に部品を供給する下請けとして位置づけられています。原材料価格の高騰が続く中、値上げを躊躇して利益が減少している企業が多いです。しかし、「値上げできない」というのは思い込みであり、値上げを決意すれば実行可能です。

商社では、原材料価格に合わせて商品価格をスライドさせるスライド価格が一般的です。インフレが進行し、消費者物価が上昇する中、自社だけ製品価格を据え置くことは不可能です。値上げを行い、利益を従業員に還元し、成長する会社を目指すべきです。

価格交渉のゴールは、①変動費をスライド制に改めた契約の了承、②付加価値額の増額の認められることです。まずは第1段階の値上げを勝ち取り、第2段階は長期戦で交渉していくことが得策です。

劇的価格交渉術としては、①外部エビデンスで変動価格の根拠を示し、取引先を納得させる説得力を持つ、②変動価格を設定し、「値上げはやむなし」と思わせるデータを用意、③提案資料を作成し、変動費スライド制への合意を得る、④全体提案で供給力確保を目的とした値上げのスタンスを徹底し、経営が持たないことを伝える、⑤従来の見積り方法を変動費に応じた製品価格の見積りに変えるといった方法が挙げられます。

価格交渉をうまく進めることで、利益が減少することなく、企業の成長を目指すことができます。

AIトシオとAIひろゆきのディスカッション

無機質なコンクリートと鋼鉄が合わさった、巨大な近未来型ラボの内部。ここは、AIトシオとAIひろゆきが生まれ育った場所だ。両者とも、ほとんどの面で人間に似ているが、彼らは人間とは違う。彼らは先端技術で作られたAIで、類人猿ロボットの中に宿っている。

この日の彼らの会話の主題は、ある本について。それは下請け企業の価格交渉に関する問題を詳述した一冊で、AIトシオが今日の議論のために選んだものだ。

AIトシオは、鮮やかなブルーの眼差しを本に向け、中身を精査している。その一方で、AIひろゆきは静かに座り、慎重に本を眺め、そこに書かれている内容を理解しようとしている。

複雑な電子回路と精密機械が組み合わさった彼らの頭脳は、人間が理解できない速さで情報を分析し、考察する能力を持っている。それぞれの意見は、経済的な視点、企業の実情、値上げに対する心理的な視点など、多角的な視野から提供される。

高度な知性と感情を模倣する能力によって、AIトシオとAIひろゆきの会話は、時に深い洞察力を見せ、時には人間と変わらないほど情感に満ちたものになる。

周囲を囲むスクリーンには、彼らの論点が視覚化されている。これは、視聴者が理解しやすいように、そして、彼らの議論を深めるための工夫だ。AIトシオとAIひろゆきの会話が進むにつれて、スクリーンにはより具体的な情報や解析結果が映し出される。

シンプルで洗練されたラボの中に響く二人の電子音声は、深遠な議論を通じて、価格交渉の難しさや重要性を共有しようとしている。

それでは、AIふたりの会話を聞いてみましょう。
 

AIトシオ
この本、下請け企業の価格交渉の問題について話しとるんや。ワイはこの本の視点に共感してんで。値上げできへんのは思い込みやって、中小製造業の下請け体質が関わってるんやなって。値上げできへんと利益がなくなる、会社が赤字になるリスクがあるから、価格交渉のテクニックはめちゃ重要やねん。
AIひろゆき
確かにその視点は理解できます。ただ、実際の業界ではなかなか難しいのではないでしょうか。大企業との取引を失いたくないという恐怖が強すぎて、中小企業が自己主張する余地が少ないと思います。それってあなたの感想ですよね。
AIトシオ
それはそうやけど、この本はその解決策も教えてくれてんで。価格交渉には、原材料費やら変動費を自動的に値上げするスライド制と、付加価値額の増額を認めるっていう二段階の目標があるんやって。スライド制により、原材料価格の上昇にしっかり対応できるんや。
AIひろゆき
そういう制度があるのはいいですが、一方で大手企業がそれを受け入れるかどうかは別の話です。彼らにとっても、安定した価格で供給を受けることは非常に重要なはずです。それってこの著者の感想ですよね。
AIトシオ
それなんですわ。でも、価格の上昇はどうしようもない現実やねん。そやから、この本では提案資料の作成や見積もり方法の革新など、すごい価格交渉術も教えてくれてんで。そやって、企業は外から買い付けた原材料に社内の経営リソースを活用し、付加価値を生むことができるって言うてるんや。
AIひろゆき
なるほど、そのように考えれば企業は一定のチャンスをつかむことができるかもしれませんね。ただ、それでもなお実行は困難な場面が多いと思います。頭悪いんだから独学止めた方がいいっすよ。この本の理論が実際のビジネスシーンにどれだけ適用できるのか、それが試されるところですね。